イリジウム再建のストーリー

 アメリカ・ワシントンに本社を置くイリジウム社は、50億ドルを費やし、1998年秋から66基の衛星群による全地球規模の衛星携帯電話サービスを開始しました。しかし、高価な端末と高額な通信料から利用者が伸び悩み、1999年8月には44億ドルの負債を抱え、2000年初めにサービスを停止しました。

 その後、残されたイリジウム衛星群を買い取るという話が何度かありましたが、出資者のひとつモトローラ社は、イリジウム社の買い手がみつからなかったことから、いったんは66基の衛星群を破壊することを発表しました。

 2000年11月、米イリジウム・サテライト社が現存の資産の全てを買い取ることになりました。政府向けの衛星通信サービスを継続するとともに、衛星通信を必要とする顧客――政府、軍事、NGO活動、重工業、海運、航空、冒険――を対象に手ごろな価格で衛星通信サービスを開始すると発表、衛星群の運行のためボーイング社と契約しました。またモトローラ社は、端末機の提供を続けることに合意しました。

2000年12月、アメリカ国防総省は、イリジウム衛星の新しい所有者と3年計画で7200万ドル相当の通信利用契約を結びました。

2001年4月、経営破綻した米イリジウム社の資産を受け継いだ米イリジウム・サテライト社の手により、イリジウム衛星携帯電話サービスが再開しました。

 

 経営が立て直された新イリジウム

 衛星維持費(ボーイング社委託)が USD500,000 から USD85,000へ減少、また社員数を従来の 700人 から 100人に減らしてコストの削減に成功しました。

 旧イリジウムは100万人のユーザー数が採算ラインだったのに比べ、新イリジウムは65,000人で黒字経営となり、すでに一年足らずで3万ユーザーの獲得を実現しました。

 衛星の寿命は当初 2006までとされていましたが、現在は 2010 まで、今後更にシステムを向上させることにより 2014.まで維持出来ると推測されています。
必要に応じ新しい衛星を継続的に打ち上げ、現在は計81機が運用しています。

 ソフトウェアのアップグレードからサービスの向上が可能になりました。