第1・第2バットレスのルート工作

4月15日 晴のち雪
 古野、井本、シェルパ4名で第1・第2バットレスのルート工作が始まる。カンシュン側へ張り出す雪庇をさけ岩稜部分との境にルートをとったが、途中ABC側に落ちるルンゼの横断は雪壁となって滑落の危険があるため、全ルートをフィックスした。岩稜は傾斜が緩く転んでも滑落の危険は少ない。ただし、スレート状の岩が積み重なった状態で歩きずらく、疲れる。午後から風雪となり第1バットレスの取り付き点まででC4へ引き返す。

4月16日 晴のち雪
昨日のメンバー6人で昨日のフィックスをたどり第1バットレスに向かう。第1バットレスはABC側へ急な雪面をトラバースし、50〜60度の雪壁から始まる。ルンゼには所々過去のフィックスロープが数本残っているが痛みが激しく全く使用できない。3ピッチ張ると傾斜が60〜70度となる。上部2ピッチは漏斗状となり両側の岩から支点をとりロープを伸ばす。出口は強引に岩壁部分を乗越して傾斜の落ちたガレ場を1ピッチ張る。落石が多く神経を使う。さらに雪の斜面を数ピッチフィックスしたら傾斜が強くなり第2バットレスの取り付き点に到着。寒くなってきたのでC4へ引き返す。

4月17日 晴
 昨日の最終工作地点の第2バットレス基部から1ピッチは脆い岩のたルンゼをフィックスし、緩い雪面に出る。カンシュン側には大きな支尾根(カンシュンリッジ)が派生し、そのジャンクションピークをABC側へ捲くようにガレ場のルートをとる。所々雪のルンゼを横断しながら9ピッチのフィックスの後、C5予定地へ到着。風は強いが天幕は十数張分も張れる広いキャンプ地である。古野、井本、シェルパ3人はC4を8時に出発C5(7,850m)予定地に15時に到着。荷をデポの後、古野、井本はC4泊、シェルパはABCへ下山。家口、原田はC4に向かうが到達せずABCへ下山。

4月18日 晴
 古野、井本はABCに下山。シェルパ6名がC5に荷揚げ後C4泊。パサンはC5荷揚げの下山中落石を受けABCへ下山。

4月19日 晴
 NHKの藏田隊員がABCからBCへ下山中、高度障害のためC2で行動不能となりサポート隊がでてBCへ無事下山。ABCの池田、田端、鈴木、冨田を除く全員がBCに下山。

4月20日 晴ときどき曇
 田端、シェルパ6名ABCからC4入り、シェルパ7名ABCからC4往復、シェルパ3名C4からABCへ、シェルパ2名C4からC5へ荷揚げ後ABCへ下山。

4月21日 曇のち晴
 ABCは停滞、シェルパ6名C4からC5へ荷揚げ往復、田端は第1バットレスの中間で引き返す。

4月22日 晴
 ヤク3頭がABCへ荷揚げ。一緒に忍田、田村も上がってくる。田端は第1バットレスを抜けたところまで登りC4に戻る。

4月23日 晴のち雪
 忍田、田村、シェルパ3名ABCからC4へ、シェルパ5名C4からC5への荷揚げ後C4へ。

4月24日 雪のち曇
 風が強く、稜線上は凍傷の危険があるため停滞。

C5建設


4月25日 晴のち雪
 ABCで-20℃。C4滞在のパーティーリーダーの忍田、田村、シェルパ3名でC5建設へ向かう。13:30にC5着。隊員はC4から行動用酸素を使用。C5の滞在にはシェルパも含め全員睡眠用酸素を使用。4人用5張りを岩稜上に張る。パーティーリーダーの古野、シェルパ3名はABCからC4へ。シェルパ5名がC4からABCへ下山。鈴木、野本、シェルパ1名はABCからC4往復。